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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第22章 第二部・第五話 【冬柿】 予兆
―私ったら、どうしちゃったんだろう?
 唇を奪われながら胸を優しく揉まれていると、次第に頭がボウとしてくる。もうこのまま何がどうなっても良いとすら思える。正体はしかとは掴めないけれど、身体のあちこちで弾けるこの未知の快さに流されてしまっても良いと思う。
 その想いが投げやりでその場任せにするのではないことは小紅自身も判っていた。触れられるのが栄佐だから、好きな男だから、こんな風に思え、安心して身を任せられるのだ。
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