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第23章 第二部・第五話　【冬柿】　冬柿

「おとっつぁんは、それを承知で出ていったんでしょう。私がどうなるかを知ってて、岡場所の女と逃げたのよ」
「済まない」
　仁助がその場にくずおれた。土間に座り込み、うなだれた父の曲がった背中が小刻みにに震えていた。
「許してくれと言っても、許して貰えるとは思っちゃいない。本当にあの頃、私はどうかしていたんだ。おもとやおもとが残した大切なお前のことを忘れ果て、あんな女に現を抜かして血迷って、大切な身代を棒に振った」