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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘
「それにしても、親父さんが料理が得意だったとはな」
 栄佐が唸る。小紅は笑った。
「そうなのよ。昔から商人(あきんど)になってなければ、料理人になりたかったっていうほど料理好きな人でね。私が小さかった頃は、よくだし巻きを作ってくれたわ」
「へえ、だし巻きねえ」
 栄佐が興味を誘われたように訊き返すので、小紅は詳しく話した。
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