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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘
「素直じゃないのは、どっちだかね。お前、本当は俺にぞっこん惚れてる癖によ」
「何ですって」
 小紅がきりりと眼をつりあげたその時、栄佐がすっと近づいた。小紅の耳朶を熱い吐息が掠める。
「そんな生意気を言ってられるのも今の中だ。祝言を挙げたら、夜通し、眠らせてやらねえほどお仕置きしてやる」
「なっ」
 しばらく意味が判らずポカンとしていた小紅だったが、すぐに白い頬に朱が散った。
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