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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会
 だが。事はそれが終わりではなかった。その数日後の深夜。
 その夜は京屋から頼まれた仕立物の納期が迫っていて、遅くまで夜なべをしていた。流石に夜も更けてきたので、片付けて床に潜り込んだところまでは憶えているが、疲れからか、すぐに熟睡してしまった。
 闖入者が忍び入ったのは寝入りばならしい。丁度眠りが深くなったところだったので、小紅もなかなか気づかなかった。すぐ傍らで物音がして目覚めたときには既に時遅く、小紅の細首には太い男の手が巻き付いていた。
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