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第27章 第二部・第六話【春咲く花】　逢瀬

―小紅ッ。
　栄佐は声を限りに叫んだ。
―いけねえ、止めるんだ。
　男が烈しく下から突き上げる度に、小紅の華奢な白い身体が、解き流した艶やかな黒髪が揺れる。その紅い唇が妖しく震え、あえかな声が洩れる。
―頼む、俺以外の男に抱かれちゃ駄目だ。
　栄佐は声にならない声を張り上げるも、夢中で互いを貪り合っている二人には届かないらしい。