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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第30章 あとがき
あとがき

 桜も見頃を過ぎ、ちらほらと葉桜が見える頃になりました。私は盛りの時期も好きですが、エメラルドグリーンの鮮やかな葉が見え出すこれからの時季も棄てがたいものがあると思います。
 さて、去年の七月から書き継いできました江戸人情物〝小紅と碧天〟シリーズも今回をもちまして全六話で完結とあいなりました。いつもこの〝あとがき〟は不特定多数の方々に向けて書くのですが、今回は特に私がいつもお世話になっている小説サイトの読者様に向けて書かせて頂きます。
 この作品は何と私が数年ぶりに作品の舞台に日本の江戸時代に戻して取り組んだ作品です。その意味では初めて書いたときのように少しドキドキしました。今の私が目指したい作品の雰囲気をできるだけ出せるように頑張ったつもりです。
 去年の七月からといえば私にしては長期に渡っての執筆でした。もっとも、その間に気分転換として現代物を二つ書いています。その一つが二月に書いた〝監禁愛〟です。
 また反省点もあります。というのも、第三話で坂本龍馬をゲスト出演させてしまったために、作品の時代設定が当初の江戸中期辺りというわけにいかなくなったからです。これについても、第三話を書くときはかなり迷いました。龍馬その人を出すと、時代がはっきりと限定されてしまうからです。いちばん無難なのは龍馬をモデルにした架空人物を作り上げて時代は変えないという選択肢であることは自分でも判っていました。
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