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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
 お紀代は我が事のように心配してくれて、両親に頼み込んで小紅をしばらく居候させてくれることになった。小紅は無一文で出てきた身である。せめて何か女中仕事でもさせて欲しいと申し出ると、お紀代の母は〝とんでもない〟と笑った。
―困ったときは相身互い。うちのお紀代だって、いつか誰かのお世話になるときがあるかもしれないんだから、小紅ちゃんは気にせずに自分の家にいると思っておくれ。
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