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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
 情けなくも準平はその一撃だけで呆気なく、後方に吹っ飛んだ。
「あ、顎の骨が」
 準平の顎は見る間に紫に変色して腫れていた。大の男が半泣きになりながら、準平は這々の体で退散していった。
「骨が折れたのかしら」
 大嫌いな男ではあるが、いささか、やり過ぎのような気がしないでもない。小紅が不安になって呟くと、栄佐が顔を覗き込んだ。
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