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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日
 小紅はむうと頬を膨らませる。
「どうせ私は単純馬鹿ですよ」
 栄佐はまだ笑っている。その晴れやかな笑顔に小紅は少しだけ安堵する。もう、小紅のよく知っている彼に戻っている。一緒に流星を見たり、蕎麦を食べたりしたときの栄佐だ。
 と、ふいに栄佐が顔を寄せた。
「そうだ、お前は本当に危なかしくって、見てられない。だから、俺がいつまでも側にいて守ってやらなくちゃ駄目だ。でも、そのまんまのお前を俺は好きになっちまった」
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