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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
「させるか」
 敵もさることながら、すぐに起き上がってくる。小紅はついでに眼に付いた大きな石ころ二つを拾い上げ、男の顔めがけて続けざまにぶつけた。
「うぎゃっ」
 今度は潰される寸前の鶏のような声を上げ、男は眼を押さえてしゃがみ込んだ。
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