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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間
「おい、ところで、その可愛い娘は誰だ?」
「俺のコレですよ」
 と、小指を立てて意味深に片目を瞑って見せる。
「幾ら情人(いろ)でもここに関係者以外、連れてきちゃいけねえってことはお前もよくよく知ってるだろう。これからは気を付けろよ」
「重ね重ね済みません。こいつがどうしても楽屋裏を見たいなんて言い出してきかねえもんだから」
 ほれ、お前も謝れ。と、頭を押さえつけられ、小紅もまた深々と頭を下げた。
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