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第12章 第一部･第三話　【月戀桜～つきこいざくら～】　十六夜の月

　いかにも妓楼の内輪話らしいあけすけな話を聞かされ、小紅は頬を染めた。そんな小紅を複雑そうに見つめ、美桜は言った。
「小紅ちゃんと栄さんの仲についちゃア、申し訳ないけど、あたしも知ってるよ。小紅ちゃん、もう、あいつと寝たんだろ？　栄さんはもう、あんたにぞっこんさ。あれほどの男にそこまで惚れられて、何で嫌なの？　さっさと栄さんの腕に飛び込んじまえば良いだけじゃないか」
「―」