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どこまでも玩具
第10章 晴らされた執念
類沢が運転席に。
俺が助手席に座ろうとすると、金原が押しのけた。
「なに」
「なにじゃねーよ。オレがナビゲーションするから瑞希は後ろで休んでろ」
「あ、あぁ。わかった」
それから声を潜める。
「あんまり油断すんなよ。昨日瑞希を守んの大変だったんだぞ」
「事実に尾ひれをつけるのは良くないんじゃないの」
「事実しか言ってねーよ」
類沢の低い声にも怯まない。
なんだ。
この二人に何があったんだ。
俺はただ首を捻った。
車はまず最短距離の一件目に向かった。
余りに近くて、何度も確認する。
「標識は紅乃木だよな」
「早く降りれば?」
類沢は家に横付けし、スタスタ行ってしまう。
急いで追いかけると、もうチャイムを鳴らしていた。
「はい?」
小さな女の子が出て来る。
ツインテールに赤いワンピース。
類沢とアイコンタクトする。
違う。
この家ではない。
「ママー! お客さんだよ!」
「あらあら……どなた? 宅配便かしら」
後ろから若い女性が現れる。
俺達を見て、軽く会釈をし、なにしにきたかと問いかける目をした。
「どうも。突然申し訳ありません。家を探しているのですが、こちらに紅乃木哲君はいらっしゃいますか?」
教師ボイスは万能だ。
金原はポカンと礼儀正しい類沢を眺めた。
「哲……? 聞いたことないですね。スミマセンが、多分どなたかと間違えてますよ。意外にこの名字多いので」
「そうですか。ありがとうございます。御迷惑おかけしました。失礼致します」
扉が閉まるまで、類沢はその姿勢を崩さなかった。
「次行こうか」
「……先生」
「ナニ?」
「どうしてここまでしてくれるんですか?」
類沢は車の鍵を開け、クスリと笑った。
「人に頭下げるのは慣れてるよ。それに、約束を破る気はサラサラないから」
目を見開いてしまう。
会ったことがない。
いや、今までも特殊すぎたけど。
こんな先生会ったことがない。
金原は溜め息混じりに車に乗った。
「次は遠いから、高速を使うよ」
インターチェンジに入る。
平日だが、車量は多い。
スピードが上がる。
類沢はグイグイ車を抜かしてゆく。
「先生……飛ばし過ぎじゃ」
「遅くしてるつもりだけど」
メーターは百三十キロ。
普通か異常か俺には判断つかない。
俺が助手席に座ろうとすると、金原が押しのけた。
「なに」
「なにじゃねーよ。オレがナビゲーションするから瑞希は後ろで休んでろ」
「あ、あぁ。わかった」
それから声を潜める。
「あんまり油断すんなよ。昨日瑞希を守んの大変だったんだぞ」
「事実に尾ひれをつけるのは良くないんじゃないの」
「事実しか言ってねーよ」
類沢の低い声にも怯まない。
なんだ。
この二人に何があったんだ。
俺はただ首を捻った。
車はまず最短距離の一件目に向かった。
余りに近くて、何度も確認する。
「標識は紅乃木だよな」
「早く降りれば?」
類沢は家に横付けし、スタスタ行ってしまう。
急いで追いかけると、もうチャイムを鳴らしていた。
「はい?」
小さな女の子が出て来る。
ツインテールに赤いワンピース。
類沢とアイコンタクトする。
違う。
この家ではない。
「ママー! お客さんだよ!」
「あらあら……どなた? 宅配便かしら」
後ろから若い女性が現れる。
俺達を見て、軽く会釈をし、なにしにきたかと問いかける目をした。
「どうも。突然申し訳ありません。家を探しているのですが、こちらに紅乃木哲君はいらっしゃいますか?」
教師ボイスは万能だ。
金原はポカンと礼儀正しい類沢を眺めた。
「哲……? 聞いたことないですね。スミマセンが、多分どなたかと間違えてますよ。意外にこの名字多いので」
「そうですか。ありがとうございます。御迷惑おかけしました。失礼致します」
扉が閉まるまで、類沢はその姿勢を崩さなかった。
「次行こうか」
「……先生」
「ナニ?」
「どうしてここまでしてくれるんですか?」
類沢は車の鍵を開け、クスリと笑った。
「人に頭下げるのは慣れてるよ。それに、約束を破る気はサラサラないから」
目を見開いてしまう。
会ったことがない。
いや、今までも特殊すぎたけど。
こんな先生会ったことがない。
金原は溜め息混じりに車に乗った。
「次は遠いから、高速を使うよ」
インターチェンジに入る。
平日だが、車量は多い。
スピードが上がる。
類沢はグイグイ車を抜かしてゆく。
「先生……飛ばし過ぎじゃ」
「遅くしてるつもりだけど」
メーターは百三十キロ。
普通か異常か俺には判断つかない。