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官能エッセイ集 ~官能の景色~
第5章 強く抱きしめる効用
『強く抱きしめる効用』


私は付き合っている女性にすることで、とても重要視していることがあります。

それは女性を“抱きしめる”と言うことです。

それもある程度の力を込めて、ぎゅっとです。

セックスの最中に、女性を抱きしめるような体勢になることはありますが、それとは違います。
正に意識して、抱きしめる目的のために、抱きしめるのです。

強く抱きしめられることが、女性には何か一種“麻薬”のような作用があると思っています。

これは、ある女性から“学び”ました。
彼女は、セックスのあと、必ず

「後ろから、ぎゅっとして」

と言います。
男の私には、分かりません。

強く抱きしめられるという行為が、女性にどんな感情を生み出すのか。
でも、それは女性特有の渇望のような気がします。

それで女性は“抱きしめられる”ことを、必要としていると感じたのです。

付き合っている女性とホテルに入ると、まず彼女と向かい合って、服の上から、ぎゅっと抱きしめます。

本当に、強くです。

ふわっ、とした包み込みような、欧米人が挨拶代わりにするようなハグではありません。

「ちょっと痛いかな」と思うくらいの力です。


そのとき、彼女は必ず「あんっ…」とため息に似たような声を発します。

必ずです。

あとは二人とも裸になって、ベッドに横たわったときも、彼女を抱きしめます。

対面座位になったときも。
そのときも彼女は必ず、声を上げます。

最後は、服を着てホテルのドアを開ける前です。
これは彼女の方からのリクエストの方が多いです。

私を振り返って言います。

「もう一回、ぎゅっとして」

私は軽くキスをしてから、彼女を抱きしめます。

ぎゅうっと抱きしめ、そして腕の力を緩め、彼女を解放すると、彼女は名残惜しそうに、私の首に巻いた手を解きます。

多分、世の男性は、セックス中のテクニックばかりを気に掛けていると思いますが、私は女性を強く抱きしめることが、女性を悦ばすためにしなければならない、大切なことだと思っています。

でも、多分、男も“遊びの相手”にはしないと思います。
私はそうです。

強く抱きしめることは、想いを伝える第二の方法です。
もしかしたら、“言葉”よりも饒舌に想いを伝えることができるのではないでしょうか?

あなたの彼は、ぎゅっと、してくれますか?


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