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官能エッセイ集 ~官能の景色~
第7章 不倫の男女差

先日亡くなった渡辺淳一の作品に『失楽園』があります。

主人公の久木が、凛子との純愛を貫いた“美談”に思えますが、それは違います。

久木が彼女との二人だけの世界を選んだのは、会社から見捨てられたからです。

久木はそれまでは必死に現状維持に努めていました。
でも凛子は、徐々に、でも確実に、久木のために、自分のために現状を変えて行きます。
母親に話し、夫に話し、離婚を決意します。

女性は、自分が愛される“ベスト”の境遇をいつも求めます。

ある意味、男より自分の欲望の追及に貪欲だと思えます。
もし不倫の末“愛”を選ぶ男がいたら、それは社会に居場所をなくした男か、若しくは、この世で本当にその女性しか要らないと思っている男です。

しかし、社会的に自立した男でないと、女からは魅力的に見えないのも、これもまた事実ではあるのですが……。

彼女らが、男から去る理由は、いつもそこにあります。
家族を愛して、尚且つ、「君も愛している」と言う男の行動に耐えられなくなるのです。
でもそれは男の本心です。
でも彼女との愛は、男の“生活”に直結しないのです。
彼女を選んだら、生活出来ないのです。
だから男は“スタンス”を変えません。

私はそうでした。



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