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第5章 野獣 武志の誤算

陽菜の手のひらの事件から2週間。
俺には今困っていることがあった。

「どうしたんですか？」

俺の左手を握りながら、自分の指を俺のと絡ませる陽菜。
親指は俺の手のひらをゆっくりと撫で刺激してくる。

「……いや、何でもない」

一番最初に手を繋いだ時、そんなふうに握ったのは俺だった。
無意識だったけれど、「変な気分になっちゃいます」と陽菜に言われてからは意識的にしないように気をつけている。

……何だ？わざとなのか？

これが元カノであれば誘ってるんだと確信できる。
だが相手はひよこの陽菜だ。
意味があってしているのかどうかは怪しい。