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第7章 元彼

『お世話になりました、ありがとうございます。』

深々と頭を下げた後こちらに向かって歩き出す。

私と目が合い、一瞬驚いた表情を見せた。

お互いに話しかけることなく、軽く会釈を交わしすれ違った。

心臓はバクバク。

動揺を必死に隠して声をかけた。

「桜井です。この度は貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。お先に失礼いたします」

「あぁ桜井君、世話をかけたね。忙しい店だ、定時に帰れるなんて無いだろうから、今日はゆっくりしてくれ。ご苦労さん！」

部長直々に応えてくれた。