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不条理な世界に、今日も私はため息をつく
第1章 破談になりました
数秒で切り替わったサイト画面には、右斜め45度のどや顔で片羽でガッツポーズしている白ハトの上半身……野鳥図鑑ばりのやけにリアルなイラストが、月桂樹の葉に囲まれて出てくる。
その下には点滅している文字。
『ボクが縁結びの美ハト様、幸福の白いクルックゥだよ』
"美ハト様"はやけに大きな太字、そして最後にはハートマーク。
「…………」
思わずあたしは携帯を折り畳んだ。
痛すぎる怪しいサイトにアクセスした気がする。
しかし、だからといってこのまま放置逃げも癪だ。
もう一度画面を見てみる。
点滅していた文字が、今度は右から左へ流れるような仕掛けになったようだ。
字が流れてきた。
『クルックゥ! 失恋おめでとう!』
あろうことか奴は、いつのまにか羽に持っていたクラッカーを使ったらしく、周りに突然に派手な紙吹雪を飛び散らせた。
『不毛な恋の終焉に、乾杯~』
しかも奴は、今度は手にワインらしきものが入ったグラスを持ち、ウインクまで寄越してきた。
『君には分不相応などんなハイスペックな高条件の相手でも、100%見つけ出してあげる。だから冷やかしの場合は、月に代わっておしおきよ~?』
あれだあれ。ハトの羽を無理矢理動かし、セーラー服とツインテールで有名なあの子のポーズ。
これはあれだな、うん。馬鹿にしているとしか思えない。
「…………。喧嘩を売っているのか、こいつは。そうか、そうなのか」