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あたかも普通の恋愛小説
第4章 恋花・火花


シャワーを浴びてもう誰もいない室内に戻る。バスタオル姿でうろつく。バッグの中にはいつも替えの下着をいれてあるから……と視線をやると、バッグに入れてあったはずのスマホがテーブルに置いてあった。メールもきていた。


――――――

小鳥ちゃん、俺のアドレス登録しといたから。また連絡するね。

       井藤 あつし

――――――


「…………マメなひとなのかな」


今までのひとは、やること済んだらわりと投げやりなひとが多かった。というか。


(やること済ん…でないか、)


前戯に時間をかけるひとなんていなかった。

あんなに抱き締めたりキスしてくれたり。何だかまるで大事にされているようで、どこまで信じていいんだろう。


(女の子を丸め込む手口なのかも……。真壁さんのこともあるし)


彼女にならない?なんて。期待をさせて。一体彼はどうするつもりなんだろう。

まんまとこんなとこまで来てしまった、また梨花子に怒られるなぁ。そんなふうに思いながら私は身支度をした。


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