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斉藤太一です
第9章 あたし・・・帰るね
「斉藤さん・・・」
「なに?」
「お願いは・・・
やっぱりやめとく」
かすみは
涙がおさまると
そう言って
僕の手の中から
いなくなってしまった
「かすみちゃん・・・」
「もう・・いいの
そうだよね
あたし・・どうかしてたよ」
「何が?」
「あたしね・・・」
「・・・・・・」
なんだか
緊張が走った
かすみが
とんでもないことを
言うんじゃないかって
ふと
思ったんだ
「斉藤さんに
セックス
してもらおうと
思ってた」
「え・・・」
「愛し合ってもないのに
そんなこと
お願いしようとしてた
ごめんね
斉藤さん
よ・・よかった
真っ暗で
なんか
恥ずかしいもん
斉藤さん
あたし
帰るね」
「え・・・
ちょっ、ちょっと待って
かすみちゃん
どういうこと?
かすみちゃん」