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斉藤太一です
第14章 変わらない僕・変わらない君
コンビニに着くと
かすみは
あの頃
自分が座っていた
場所で
立ち止まり
「誰?
斉藤太一です」
と、ひとり芝居のようなことをして
微笑みながら
また
僕を見上げた
僕は
目尻を下げて
照れて笑い
「おんぶして
帰ってあげようか?」
と聞くと
かすみは
はっとした顔をした
「あの日も…雨だったね」
「そうだよ
もっと
ひどい雨だった」
かすみは
何かを
思い出したように
ぼんやりと
その場所を見つめていた
悲しいことを
思い出してしまったのかと
思った僕は
かすみの
肩に
手を伸ばし
そっと
抱きよせて
傘の中で
君を
優しく
抱きしめられたら
どんなに
幸せだろう…と
心の中で思った