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斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君
ファミレスでは
かすみとしずくが
僕の正面に座っていた
小学生の子供と
食事をすることなんて
ない僕は
しずくの全てが
新鮮だった
しずくが
どのくらいで
お腹がいっぱいになるのかとか
ドリンクバーで
どんなものを
選んで飲んでいるのかとか
テーブルが
高くて
食べにくそうだな・・とか・・。
学校で
給食を食べているんだから
しずくが
自分で食べるのは
当たり前なんだけど
近くにある
グラスを
しずくが倒さないように
しずくの動きに合わせて
そっと
かすみがグラスを移動させたり
しずくの手が
汚れると
しずくが何も言わないのに
おしぼりを
すぐ近くに置いてあげたりする
ママな
かすみも
新鮮だった
親って
大変だな・・・
しずくが
これだけ
自分で色々できるように
なるまで
もっと
大変だったんだろうな・・・
クリーニング店にも
小さい子供や
赤ちゃんを連れてくる
お客さんは多い
こんな雨の日に
子供を
連れて来なくても・・・
とか
こんな暑い日に
赤ちゃんを
連れて来なくても・・
なんて
思っていたことが
あったのを
ぼんやりと思いだしていた
置いてなんて
来れないのに
最初は
そんなことも
気付かなくて・・・・。
「ごちそうさま~!」
「はい、良く食べたね
もう
お腹いっぱいかい?」
「うんっ」
屈託のない
子供の笑顔は
僕とかすみを
笑顔にしていた