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斉藤太一です
第17章 遅くなってごめんね、しずく
「遅く・・なっちゃったね」
アパートが見えて
時計を確認すると
もう
11:00を過ぎていた
「ほんと
こんなに遅くまで
出歩いたの
久しぶりだな・・・」
遅いことが
楽しいことみたいに
かすみは微笑んだ
「昔は
朝まで外にいたのに」
そう言って
僕を見上げるかすみは
ちょっと
いたずらな顔
「しずくちゃんには
内緒にしておいてあげるよ」
そう言うと
また
くすくすと
笑った
アパートの
階段を上がると
かすみが
バックから
鍵を出すために
つないだ手を
放した
どうしよう
こんなにも
帰りたくない
今日が
最後じゃなくて
今日が
始まりなのに
帰りたくない
ガチャ・・
鍵を開けて
かすみが
顔だけ
振り向いた
ど、どうしよう・・
かすみが
何も言ってくれない
帰りたくない
帰りたくないけど
「か・・・帰るよ・・」