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斉藤太一です
第21章 運動会

「太一さん」




「ん?」




「でもどうして
あんなにゆっくり
走ったの?」




「・・うん・・・」




そう



僕としずくは



ダントツのビリだったんだ






「しずく~

ちゃんと左右見ないと
あぶないわよ~」




「あのね・・かすみ・・」




「なに?」




「僕は背が高いだろ?」




「うん」




「こんなに背が高い僕が

もしも
しずくをおんぶしたまま
転んだりしたら
しずくが大ケガをしちゃうだろ?


だから


とにかく
転ばないようにと
走ったら・・・」




「結局
歩いてたってわけ?」





「・・そうなんだ・・」





「クスッ(笑)」





「・・・・・」






「いつか分かってくれると思うよ」





かすみは
そう言って
僕の手をそっと握った




「ん?」




いつもなら
しずくと繋ぐ手に
かすみの温もりを感じながら
かすみを見つめると

かすみの
長い髪が
ゆらゆらと
揺れていた




「いつか

そうやって
太一さんの優しさに
守られて育ったんだってこと
感謝してくれるときが
来ると思うよ」







「かすみ・・」












「きゃぁ!」



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