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Deep Emotion
第2章 始まりの予感
仕事と挨拶。

当たり前のようにしていたけれど、それをこうして評価してくれる人がいる。私は素直に嬉しく感じた。

「清掃の仕事は今まで通り続けてもらって構わないし、引き受けてはくれないかな」

遠慮がちに門倉さんが訊く。

仕事がもらえるのはありがたいし、住み込みというのも魅力的だ。

「私でよければ」

気付けばそう返事をしていた。

「本当に?…ありがとう」

門倉さんがほっとした顔で私にお礼を言う。

「よろしくお願いします。…それで、いつから働けばいいんですか?」

「できたら今日からお願いしたいんだけど、荷物とかあるし、難しいかな」

急すぎるよね、と門倉さんは頬を掻いた。

「いえ、大丈夫です。荷物は近くに預けてるので、それだけ取りに行ければ…」

「じゃあ、それ取りに行って、そのまま私の家に行こう。…乗って」

門倉さんは後ろに停められていた高そうな車の助手席のドアを開けた。

おずおずと私が車に乗るのを確認すると、門倉さんは運転席に座ってエンジンをかけた。車がゆっくり動き出す。

「荷物、どこに預けてるの?」

「あ、〇駅のコインロッカーです」

「わかった」

私達は駅に向かい、コインロッカーからキャリーバッグを取り出した。それを載せると、車は門倉さんの家に向かって走り出す。

今が春のせいだろうか。

何かが始まる予感がした。
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