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Deep Emotion
第9章 偽物の婚約者
「うん。よく似合わないって言われる」

「ふふ」

確かに似合わない。

門倉さんは甘々なものよりビター系を食べている方がしっくりくる。

でも、甘い苺タルトを美味しそうに食べている門倉さんが、なんだか可愛く見えた。

「今日は、うまくできなくてすみませんでした」

ミルクティーを一口飲んでから、私は門倉さんに謝罪した。

「結果的に上手くいったんだし、無理を言ったのはこっちなんだから謝らなくていいよ」

「でも」




『絶対どこかで失敗するよ』




昨日の陽くんの言葉が甦る。そう、昨日…。

「…!」

私は昨日のことを思い出し、恥ずかしさで体温が上がった。

何で思い出しちゃったの、私。しかもこのタイミングで!

門倉さんが、怪訝な顔をしている。

「どうかした?」

「な、なんでも、ないです…」

できるだけ私は平静を装った。ガトーショコラをミルクティーで流し込む。
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