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第9章 偽物の婚約者

「立って。行くよ」

「え、えっ？」

門倉さんに連れて行かれるままカフェを出て、エレベーターで12階まで昇る。

ふかふかの絨毯が敷き詰められた客室フロアの通路を歩いて行くと、門倉さんが1つの部屋のドアを開けた。

「入って」

言われるまま、私は部屋に入る。

「あの…」

部屋の中を進みながら後ろを振り向くと、門倉さんが軽く私の肩を押した。

私はベッドの上に倒れ込む。起きあがろうとすると、上から門倉さんが覆い被さってきて、唇を重ねられた。

「ん、んっ…」

何が起きているのかがわからず、私はとにかくもがいた。