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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係



 ずるり……と抜かれた指は蜜でしとどに濡れ、栓を失った蜜壺からトロトロと奥から愛蜜が溢れて双丘を伝った。


「はぁ……ん」


 一度高みへと昇った身体は敏感で、それだけで悩ましげな吐息が漏れてしまった。


 浅く早い呼吸を繰り返すアリエッタはベッドへと横たえられ、冷たいリネンが火照る身体を癒す。


 レオは恍惚とするアリエッタに優しく口付けた。


「アリエッタ。キミはいい教育係になりそうだ」


 魅惑的な笑みを浮かべるレオをぼんやりと眺めた。


 急激に重くなる瞼。


 部屋に戻らなきゃと頭の片隅に過るが、重いのは瞼だけでなく身体もだ。


「我慢するな。眠ればいい」


 波打つ蜂蜜色の髪を撫でるレオの手が心地好く、同時にとてつもなく哀しくなった。


 この手が悦ばせたのはアリエッタではなく、彼女を通した誰か──。


 しかしアリエッタはまだ知らない。自分がなにを選び、なにを捨てたか。


 それを思い知らさせるとき、アリエッタがどうなってしまうかも……。


 今のアリエッタはただ重くなるばかりの瞼に逆らえず、髪を撫でる感触に身を寄せ、意識を手放した。







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