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隠匿の令嬢
第6章 恥じらう乙女と卑猥な遊戯


 レオはアリエッタに話があるからと、二人に席を外すよう促す。


「僕、最近間が悪いみたい……。あー、いたぁ」


 というナキラにぼやき頭を両手で押さえるキッシュをアリエッタは首を傾げて見送った。


「キッシュになにかしたの?」


「してない、してない。調子でも悪いんじゃないか?」


「変ね……。さっきまで元気そうだったのに。大丈夫かしら?」


 レオがキッシュの頭を握り潰さんばかりの力で締め上げていたのを知る由もなく。本気で心配するアリエッタに隠れ、レオは喉を鳴らした。


「あ、えと……。話ってなんだったかしら?」


「いやな。休暇も残り僅かだろ? 俺としたことがアリエッタをどこにも連れて行ってないと思ってな」


「そんなこと気にしなくていいのに。ここで住まわせてもらってるだけで十分過ぎるくらいよ」


 ここの暮らしはアリエッタにとって勿体無いと思えるものだ。今までの暮らしを思えばだ。


 もしもアリエッタが自立していて自力で生活出来ていれば、絵を描く旅にでも出ていただろうが、そんな願望さえ抱くのは罪で。


 レオの気遣いも心苦しいくらいだ。





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