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隠匿の令嬢
第1章 プロローグ
「んっ……ふぅ……ああっ!」
女は与えられる快感に身悶えし、リネンを握って必死に理性を繋ぎ止める。すぐそこに陶器のような滑らかな肌を晒し、逞しい肩と男らしい首筋があるというのに、決してそこに縋ろうとはしない。
白い柔肌に良質の絹のような髪が這うだけで敏感に反応してしまう。
「もっと乱れてみせろ」
女の上で男が高慢さを滲ませる口許に笑みを浮かべ、腰を深く埋めてきた。
「やあっ! 駄目……駄目です! そんなに深くされたら……っ!」
「イけ! 何度でも!」
男の言う通り、女の身体はもう何度も達していた。最奥まで穿たれ、女は呆気なく達する。
男も圧迫感に我慢ならないとばかりに女の中に欲望を吐き出した。
悲鳴のような嬌声が室内に響き、女はぐったりとリネンの上に沈みこむ。
──これは赦されない行為。愛する人に抱かれるなど、決して赦されてはいけない。
女の眦〈マナジリ〉に涙が浮かぶ。
ごめんなさい……。ごめんなさい……。
誰に赦しを得るでもなく、女は謝罪を胸の内で繰り返した。
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