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隠匿の令嬢
第19章 再起のとき
レオは歓喜した。
アリエッタと想いが通じ合えたことに。身体を重ねられたことに。
そしてもっと夢中になった。眠っているときでさえ、背を向けられていると淋しくなるくらいに。
反面、失うことが恐くなる。毎夜抱き締めて眠っていても、泡のように消えてしまうのではと。
だから余計言えなくなる。言えばアリエッタも死んでしまうんじゃないか……。
けれど彼女はいつも笑っていたから。家族と対面し、抱えていたものから解き放たれ、その笑顔はより眩しくなって。
もうなにも心配はない。言葉にせずとも気持ちはひとつだ。
リンゼイと立場上過ごす時間が増え、逆にアリエッタとの時間が減っても信じあえているから平気だと思っていた。
現に彼女は笑っていた。それはそれで寂しかったが、期間さえ過ぎてしまえば、いくらでも一緒にいられる。
要するにレオはアリエッタを手にし、浮かれ、盲目になっていた。
それが間違いだったと突き付けられるまで、アリエッタがどんな想いで過ごしてきたかを知らずに。
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