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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「アリエッタは!? アリエッタは帰っているか!?」
レオはカンターヌへの道中で、宿泊していた子爵の邸から馬を飛ばし、二日はかかる距離をたった一日で首都メフィスにあるアッシュブラン邸まで戻ってきた。
途中、馬を替える以外は飲まず食わずで睡眠もとらずに。
レオに同行していたジョシュアは文句ひとつ言わず、レオに従った。
邸に飛び込んですぐ迎えた使用人に声を飛ばす。
「いえ……。アリエッタ様の身になにか……?」
「ザキファス公爵の邸からいなくなったんだ」
レオの言葉に使用人たちからどよめきが上がる。
夫人から手紙を届けた者はなにも伝えていなかったことが窺えた。
「とにかく全員集めろ! 今すぐにだ!」
声を荒らげると使用人はすぐさま駆けていく。
なぜ……なぜ居なくなった?
馬で戻る最中も、そればかり考えていた。
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