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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
大した情報ではなかった。しかし引っ掛かる。
この邸に居る者ならば、アリエッタが完成まで見せないようにしていると知っている。
掃除もアリエッタがしているくらいだ。わざわざ出る間際に言うまでもなさそうなのに……。
考えている時間も勿体ないと、レオはアトリエに足を運ぶ。
ジョシュアと、それからナキラとキッシュも居ても立ってもいられないのか、レオに続いた。
油絵の具の匂いが満ちるアトリエ。
綺麗に片付けられている室内には、布に覆われるキャンバスと、彼女が使っていた椅子の上に1冊のスケッチブックが置かれている。
レオは迷わず布を取り去る。
絵が姿を現した刹那。
その場にいる者……否、アトリエ全体の時間が止まった気さえした。
誰もが身動きひとつせず、アリエッタの描いたレオの肖像画に魅入られる。
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