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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
ザキファス公爵は別室に入ると、懐から葉巻を取り出し火をつけて煙を立ち昇らせる。緊張を解そうとでもしているのだろう。
「して、どのような? アリエッタのことでしたら」
「彼女のことではありません。ですが全く関係なくもありませんが」
彼を遮り、ペースをこちらに持ち込む。レオは自らの言に乗っ取り、早速切り出す。
「公爵には本日限りで、爵位を返還していただくことになりました」
さらりとにべもなく言い放つ。一瞬、公爵は硬直した。それはそうだろう。なにを言われたかすら、理解に苦しむはずだ。
「はは……、またご冗談を」
「冗談を言っているように見えますか?」
「殿下! いくらあなたであっても独断で爵位の取り上げなど赦されませんぞ!」
「独断ではありませんし、取り上げでもありません。返還、と言ったのですよ。本来持つべき人物に」
「なんだと……!?」
公爵は燻らせる葉巻を灰皿に押し付け、怒りで顔を真っ赤にさせた。
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