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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る
レオの琥珀色の双眸の奥、妖しげな色が揺らめいた。
嫌な予感しかしない。拒否をしてもさっきのペナルティーを課せられそうであるし、迂闊に甘受すればレオの思う壺。
アリエッタが返答に迷いあぐねていると
「なに、勝てばいいだけだ。そうだろ?」
「そうだけど……。私、あなたにして欲しいことないの。こうしてモデルを受けてもらってるだけで十分過ぎるくらいだわ」
「なら俺が負けたらそうだな……。画材を贈ろう。新しい筆でもスケッチブックでも絵の具でも、好きなものを贈ってやる」
「そ、そんな! 悪いわ。道具は教授から貸していただいてる物があるの。だから……」
「俺が勝ったら、届かなかった秒数分キスをする。決まりだな」
「そんな勝手に……。あなたってどうしていやらしいことばかり言うの?」
アリエッタは怒れてくるというより呆れてきた。灰ネズミとからかわれるだけあって、自分は地味で可愛げがないのに、と。
レオほどの美貌ならいくらでも美しい淑女が寄ってくるだろうのに。アリエッタには自分とキスをして何が楽しいのか皆目解らない。
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