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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第9章 主婦の長期休暇


十月中旬。

殺風景だったリビングは、私達三人の写真で溢れかえって生活感の溢れる部屋に早変わりしていた。

水族館で撮った写真や、
観覧車の中で撮った柳沢と紫音の写真・・。

ほかにも、いつ撮ったのか分からない
私と紫音が頭をぶつけあいながら寝てる写真など・・

この家に紫音が来たのは一ヶ月少し前だ。

その時は三ヶ月を半分過ぎていた頃だった。
それなのにー・・ちょうど、今日で五ヶ月になる。

本当に月日は待ってくれる事なく
どんどんと進んでいくものだー・・。

まだ完璧な寝返りは出来ないけれど
横にコロンっとよく転がっている。

運動神経は良いのだろう。


私と柳沢はー・・何も変わらない夫婦生活を送っていた。

はじめて家にきた、そういう養子を扱う機関の方達もリビングに飾ってある写真や、私達夫婦の様子をみて、特に問題はありませんと言い残し帰っていった。

次はーー・・あと、二ヶ月後・・。

それが終われば、私は用無しになる。


あぁ、やっぱり悲しい。


すっかりと首が据わっている紫音を抱き上げて、柳沢が寝ている寝室へ向かう。
午前10時ジャスト。今日は私達は両方オフなので、出掛ける約束をしていた。


「パパ~起きて~」


あ、あともう一つ変わった事がある・・。

それは、紫音の前では柳沢の事を極力パパと呼ぶようにしたって事と、紫音と二人でいる時は英語を使うようにしたってこと。

三人で会話をするときは日本語だけど
彼が仕事で出ていったりして、私と紫音二人の時は基本的にすべて英語だ。テレビも、電話もーー・・。

ハンソンも、画面越しで見る紫音の成長にすごく興奮していた。

「ほーら、用意して。遊びに行くんでしょう?」


今日は、某アミューズメントパークに行くつもり。

パレードなんかみても分からないだろうけど
また柳沢の親バカぶりが発揮されて・・要らない写真をたくさん買うんだろうな。



「ーー・・あぁ・・。よく寝た・・」

「昨日ご飯食べてすぐ寝てたもんね。九時間は寝たんじゃない?」

「そんだけ疲れてるって事だよ」


「お疲れ、パパ。」


「あぁ。」


もうパパって呼ばれる事にもなれたのかな?
はじめは吃驚していたけど、今は満更でもなさそうだった。
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