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とあるオクサマのニチジョウ
第11章 Scene.01
「えっ!?」
「だぁかぁらぁ…気分転換に…ねっ?」
目を丸くさせる恭子に、笑顔を見せる杏子。
「…ま…まぁ……悪くは…ないんだけどぉ………」
「じゃあ、決まりねっ」
歯切れも悪い恭子に有無を言わさないとばかりに言い切る。
「そしたら、ちゃんと準備しといてねっ」
「え、えっと……準備…ねぇ………」
とんとん拍子に話を進めていく杏子に、思考が追い付いていかない恭子。
軽く柳眉を寄せて困り顔を浮かべるが、杏子は気にした様子も無く立ち上がった。
「じゃあ、後で詳しい事はメールするからっ」
そそくさと部屋を出て行く杏子の背中を、ただ呆然と見送るだけの恭子。
「……え…えぇっ…とぉ……」
再び口を開いたのは、杏子が足早に去ってから十数分後だった。
「…準備って……何を………」
ボソッと呟く恭子の声が、静まり返ったリビングに流れた。
夕陽が差し込むリビングに、困り果てた表情の恭子一人。
いつもなら、食事の準備に追われている筈の時間。
しかし、恭子がキッチンへと向かう事は無かった。
「…ふぅ……」
杏子が居なくなって寂しい雰囲気が増した部屋。
やけに溜め息が大きく聞こえる程の静寂が漂っていた。
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