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とあるオクサマのニチジョウ
第13章 Scene.03
新たな性癖を芽生えそうになった大男と真希が歩き続けて十数分。
…俺は違う…俺は違う………
「………ああっ!?」
突然叫んだ真希の声に、依然として困惑していた大男はビクッと肩を跳ね上げた。
「ど、どうしたのかな?」
「こ、此処っ」
尋ねる大男の左手を離し、一目散に駆け出す真希。
夜の景色で分からなかったが、見覚えがある光景に脚が勝手に動いていた。
「お、おいっ!?」
大男は慌てて左腕を伸ばすが、虚空を掴むだけだった。
「きっと此処っ……今度こそ…真希の女の勘は当たるっ」
バタバタと駆け出して、敷地内へと脚を踏み入れた真希。
仄かな街灯の明かりがあるだけの、薄暗い景色を見回す。
ジャングルジムや僅かな遊具がぼんやりと姿を浮かび上がらせている中で、或る一点を見詰めた真希は体を強張らせる。
信じ難い光景に体を強張らせながらも、怖ず怖ずと脚を進める真希の視線は其処から外れる事が無かった。
「きょ……恭子………さん?」
真希のクチから飛び出すのは震えた声。
人違いであって欲しいと僅かな願いを込めた声。
「………あらあらぁ………真希ちゃぁん………」
想い虚しく返ってきた甘ったるい声は、真希の問い掛けに肯定するように真希の名前を呼んだ。