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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
 
「恭子さんっ、おはよおっ」

 久々に明るい時間にキッチンに立っていた恭子の背後に、元気な真希のアニメ声が掛かる。

「あらあらぁ。真希ちゃん、おはようにはちょっと遅………」

 動かしていた手を止めて振り向いた恭子は、真希の姿に言葉を詰まらせた。

 綺麗な艶のある長い黒髪は所々で跳ね、ボタンが外れたパジャマから胸やショーツを覗かせただらし無い真希の姿。

 元気に挨拶をした割りには手の甲で目をゴシゴシと擦り、未だに眠そうにしている真希に恭子は苦笑を浮かべる。

「ちょっと顔…洗ってこようかぁ?」

「う〜ん………」

 幼子に話し掛けるような恭子の言葉に、真希はペタペタと脚を動かす。

 フラフラと体を揺らしながら歩く真希に、かなりの不安を感じながらも恭子は流し台へと向き直る。


…ホントに……母親になった気分だわぁ………


 悪くない気分に、自然と表情が綻ぶ。

「んにゃぁぁぁっ!?」

 しかし、それも束の間。

 突然聞こえた真希の叫び声に、恭子は慌てて洗面所に駆け出した。
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