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不器用なくちびる
第14章 贖罪
……………………

時間をロスしたな…
でも瑞希とのことはもう心配要らない。
もうお前を正々堂々と
抱きしめることができる…
なのに香山、今どこにいるんだ?

その時ふと、何度も通り過ぎていた
ロビーから中庭に出る
従業員用の扉が気になった。
そこから中庭に出てみると…


「香山!」


キンモクセイが香り始めた中庭で
苦しそうにもがく香山が…そこにいた。
これは…過呼吸か…?


「た…ちば…なくん…」


口をパクパクさせながら
涙を流す香山を助けたくて…
愛おしくてたまらなくて…

俺は香山のくちびるに
自分のくちびるを重ねると
二酸化炭素を送り込んだ。
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