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不器用なくちびる
第17章 【椎名 12才】
だけど優しくする方法を知らない俺は
香山を力づくでものにしようとした。

優しくしたいけど
あいつの泣き顔に妙に興奮する俺もいて
訳がわからなかった。

そして…いざとなると
あいつに挿れたいのに
挿れられない俺がいた。
汚ねぇ女たちの前では
一度も何ともなかったのに。

でもあいつに挿れたいと
考えるだけで…


大切な大切な美優。
まだ何も知らないのにどこかの誰かに…
何をされたのかもきっとわからずに。


そんな想いに支配され
俺の熱は急速に冷める。


自分でもどうしていいかわからず
他の奴らと勢いであいつをどうにか
してやろうとしたこともあったけど
すぐに後悔した。


でも俺はあいつに優しくしてやる
資格もないしやり方もわからない。


そんな毎日の中で
俺はまたどうでもいい女を抱いて
その中に香山の温もりを…
その欠片を必死で求めた。
幸か不幸か、あの親ゆずりの顔の
お陰で女には不自由しない。

こんな俺…
何のために生まれてきたんだろう。
せめて大切な人間を傷付けない
人間になりたかった。
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