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不器用なくちびる
第20章 【椎名 16才】
……………………
一時間ほど経った頃…
近くの居酒屋で飲んだ帰りの父娘が
その階段に通りかかった。
父親はこの近くで小さな椅子工場を
経営し、成人したばかりの娘は
そこで見習いをしている。
「あれ?お父さん、うちの椅子で誰か…
うわっ!めちゃくちゃ血が付いてる!
…お巡りさん呼んだ方がいいかな…」
「…どれ…あぁこいつは…
おい、桧奈(ひな)、先に家帰って
客間に布団の用意しとけ。」
「えぇっ?!なんで…」
「いいから早く行け。」
不服そうな顔をしながらも
娘は駆けて行った。
「椎名くん…だったよな。
何があったんだ…こんなに怪我して。
でもすっかり大きくなって…
美優ちゃんが亡くなってから
もうそんなに経ったんだな…」
彼は椅子の横の地べたに座り
椎名が目覚めるまでずっと
近くで寄り添っていた…
一時間ほど経った頃…
近くの居酒屋で飲んだ帰りの父娘が
その階段に通りかかった。
父親はこの近くで小さな椅子工場を
経営し、成人したばかりの娘は
そこで見習いをしている。
「あれ?お父さん、うちの椅子で誰か…
うわっ!めちゃくちゃ血が付いてる!
…お巡りさん呼んだ方がいいかな…」
「…どれ…あぁこいつは…
おい、桧奈(ひな)、先に家帰って
客間に布団の用意しとけ。」
「えぇっ?!なんで…」
「いいから早く行け。」
不服そうな顔をしながらも
娘は駆けて行った。
「椎名くん…だったよな。
何があったんだ…こんなに怪我して。
でもすっかり大きくなって…
美優ちゃんが亡くなってから
もうそんなに経ったんだな…」
彼は椅子の横の地べたに座り
椎名が目覚めるまでずっと
近くで寄り添っていた…