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不器用なくちびる
第6章 策略
「香山…ご主人様が呼んでるぞ。」


帰ろうとした私に話しかけてきたのは
あの時の茶髪…


「…私…行けない…」


言ってみたけれど。


「あの写真良く撮れてるよなぁ〜
栞ちゃん♪へへへ…」


肩をポンポンと叩きながら
いやらしい笑みを浮かべる茶髪。

初めの体育館の時以来、
椎名は誰かを呼んだり一切しなかった。

いつも二人で…
一瞬だけど優しい時もあったりして。

歪んでるけど信頼関係らしきものが
できつつあった。
すごく嫌だけど…
まるで共犯者みたいな秘密の関係…

なのに…
もしかしてまた多勢の前で?

私は最後に椎名の部屋を飛び出した
時のことを思い出していた。
椎名は怒ってるのかもしれない…

目の前が真っ暗になりながらも、
仕方なく手を引かれ
着いて行く私だった…
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