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第12章 かんさいじん

『そんなん、前からそう呼んでて言…』


そこまで言うと、高峰さんの腕が緩まりました。


『あ…なんや、また泣いてるん…？』


伸びてきた長い指が、そっと頬を拭ってくれます。


『すまん…泣かしてばっかりやな、オレ…』


泣くばっかりでごめんなさい。あたしは昔から気が弱くて。いつもその場の空気に流されるままで…言いたいことがちゃんと言えない臆病者なんです。だけど…


『アキラさん、好きです…』

『？！』


だけど、この手は離したくないです。


『この前は、大事な商談前にすみませんでした。色々言ったけど…後になって、あたし自分の本当の気持ちに気づきました。あたしはアキラさんのことが好きなんだって…』

『カヨちゃん…それ、ホンマなん？』

『本当です。あの後、アキラさんが全然会いに来なくなるから…あたし寂しかったんですよ…？』