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その、透明な鎖を
第8章 認めたく、なかったのに
「悠斗? どうしたの?」
凛は、悠斗を覗き込むようにして。
「……っ、顔色悪いんだけど、大丈夫!?」
「え……」
やっと、彼は彼女の言葉に反応して。
「汗、かいてるし」
立ち上がって、チェストから取り出したタオルで彼の顔を拭く。
その手が、彼に掴まれて。
そのままそっと離されて。
「大丈夫、自分で、拭ける」
声が少し、掠れた。
受け取ったタオルで、彼は顔を覆う。
「……私がびっくりさせたから、かな」
耳に届く彼女のその声に、黙って首を振って。
「お水、持ってくるね」
彼女が部屋を出ていくその気配。
……そして彼はタオルを顔から離した。