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その、透明な鎖を
第12章 私の存在理由
「……何、言って」
やがて、そんなパパの戸惑いの声が聞こえた。
パパが応じないだろうことなんて、最初からわかってる。
だから、準備していたその言葉を私は言おうとして。
でもなんだか、喉が詰まってしまったかのようになって。
小さく、深呼吸をした。
……大丈夫。
ちゃんと、ちゃんと言える。
言わなきゃ。
「……だって。あんな変な雰囲気。もうやだ」
そしてその言葉を何とか口にできて。
はあっ、と息を吐く。
大丈夫。
……大丈夫。
自分に言い聞かせて、そのまま私は続ける。
「……だって、パパからほんとの娘じゃないって聞いたあのあとも。やっぱり、ふたりして、あのことには触れないようにしてて。
……なんか、それがかえって、なんか……変なかんじになっちゃってる」
「凛――――」
「パパとぎこちないの、もうやだ……」