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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
凛の後ろを着いていくようにして廊下を歩きながら、その姿を悠斗は見つめる。
長い黒髪が、歩くたびにさらりと彼女の背中で揺れる。
細く長い手足が、ノースリーブのワンピースから覗いていて。
なめらかなラインを描く、何度も愛したその華奢な身体。
――抱きしめたい。
そんな衝動に、急に駆られた。
その衝動は治まらず、凛の部屋に足を踏み入れるとそのまま悠斗は彼女を背後から抱きしめる。
足を止めてされるがままでいる彼女をぎゅうっ、と。
その腕に力を込めて。
「なんか、抱きしめたくなった」
その呟きに、彼女は前に回された彼の手に触れた。
「……私も、そうだったよ」
あの日、と。
「だから……そういうの、わかる」
「……凛」
彼女は、話そうとしてくれているのだろうか。