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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
凛といるだけでこんなに心が満たされる自分。
頭で選んだわけじゃない。
ただ、心が凛から離れることを頑なに拒んだ。
……それがもう、すべての答えで。
この関係を受け入れたことでこれから先、自分は幾度となく苦しむかもしれない。哀しむかもしれない。
それでも、その感情さえも幸せなのだと今の悠斗には思えた。
なぜなら、凛がそばにいるのだから。
それは凛がそばにいるからこその感情なのだから。
もう、凛がいない毎日なんて悠斗には想像できなかった。
凛がいてくれるなら、どんな感情でも受け入れられると……そんなふうに思えてしまうほど、あの会えなかった2週間は彼にとって耐え難いものだった。
もうその存在を永遠に失ってしまったかもしれないという、あの絶望。
それと比べたら、どんなことでも受け入れられる――そう、悠斗は思う。
たとえ、彼女の心の中に自分が触れられない場所があっても。
その場所に入ることを許されているのは、自分ではないほかの存在だとしても。