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その、透明な鎖を
第23章 その、透明な鎖を
――途端に、こんなに楽になるなんて思わなかったな。
嘘みたいだ、と。
思わず呟きが漏れた。
「…………?」
それを耳にした凛が、目で悠斗に問いかける。
悠斗はただ、黙って。
けれども笑って、首を振った。
ずっと決められなかった覚悟。
永遠に続くかと思われた葛藤。
そこから、彼はようやく。
この、凛と出逢った場所で、彼女を前にして。
夏と共に始まった想い。
それは夏の終わりと共に、彼の中で揺るぎないものへと変わっていく――――。